プロフィール
1975年 滋賀県生まれ
2005年 大阪府立大学大学院農学生命科学研究科獣医学専攻博士課程修了
2005~2006年 日本学術振興会特別研究員、独学でアクリル画始める
2006~2009年 水産庁、国立研究開発法人水産研究・教育機構雇用 鯨類調査員
2010年 出産と育児で作品制作休止
2017年 作品制作再開
経歴
入選/受賞歴
- 2021年
- 「第3回公募アートハウスおやべ現代造形展」入選
- 2020年
- 「IAG(池袋アートギャザリング) AWARDS 2020」入選
- 2019年
- 「第4回星乃珈琲店絵画コンテスト」優秀賞
- 2008年
- 「第21回日本の自然を描く展」上位入選
展示歴
- 2021年
- 「アートブック/アートグッズ@BankART KAIKO」、神奈川
- 企画展「SANGO展」、Picaresque Art Gallery、東京
- グループ展「ART POINT SELECTION III」、GALLERY ART POINT、東京
- 2020年
- 「KENZAN 2020」、WEBSITE and You Tube
- グループ展「Dimension2020」、GALLERY ART POINT、東京
- 「IAG AWARDS2020 EXHIBITION」 、東京芸術劇場、東京
- 2019年
- 「東京インディペンデント2019」、東京藝術大学、東京
- 「Independent TOKYO 2019 」、東京
作品
材質:アクリル絵具、東京の地図、ホログラムシート、海岸のプラスチック片、セメント、UVレジン、油性ペン、綿布と木製パネルまたはカンバス
作品説明
獣医学を学び、鯨類を研究対象としていたことから、クジラと細胞に魅了され、それらをモチーフに命をテーマにした作品制作をしています。 自然界には、原子、細胞、個体、社会や生態系のように、個々の集合体が調和して次の世界を創るという理があります。無機的な物質の動きのようにも感じられる理の中で誕生し消滅する命の魅力や意味について、肉体の微細構造から世界との繋がりまで、多角的な視点から表現を模索しています。 自然への共感や同調から派生した日本の美意識と、西洋の哲学的要素を融合させた日本産現代アートを志しています。アクリル画をベースに地図や海洋プラスチックなどを使用した半立体のミクストメディア作品を作っています。
「作品説明」
生物は繋がり合い生態系や社会を作ることで生命を維持しています。個体が細胞で構成されているように、地球の生物群は全体で一体の生命体であるかのようです。また、個体には寿命がありますが、子孫を残すことで生命を存続させています。生物とは、命を繋ぎながら過去から未来への時の海を航行する巨大な船のようだと私は考えています。その船をクジラに置き換え、そして人間社会を示唆するツールとして地図を用い、進化の時を航海する船、方舟シリーズを制作しています。 今回提出の作品は現代の社会問題に焦点を当てています。日本最大の都市である東京の地図上に、海岸で収集した海洋プラスチックで街を作り、現代の大量生産・大量廃棄社会をシニカルに表現しました。プラスチックは生活の様々な製品に使用され日常的に使い捨てされている消費社会の代名詞のような存在です。それらは焼却されることで地球温暖化の原因となる二酸化炭素を排出し、海に流出したものは海洋プラスチックとなり海洋汚染をもたらしています。私たち人類は、産業革命を起点に目覚ましく文明を発展させ、思うままに振りかざしてきましたが、文明が自然を侵襲した影響は今、気候変動やコロナ禍として人間社会に降りかかり、私たちは生き方を考え直す時代、進化の岐路に立たされています。作品では、炎上しながらも生きるために摂餌しようと大きな口を開けたクジラの姿を描いています。それは、自らの文明が期せずして招くに至った災厄に人々が苦しみながらも生きようとする姿、あるいは自然の生き物達が人の文明に虐げられながらも生き抜こうとする前向きな強さを表現しています。その姿は生物の本質であると考えています。そして、怒りや戦いの神である憤怒像や、紺丹緑紫の配色および宝相華の装飾のような仏教的モチーフを引用することで、世界の浄土化と人と生き物たちの救済への希望を表現しました。地球に生まれた命の船が沈むことなく航海を続けること、それが私の願いだからです。